アメリカの教育

アメリカでは自分の主張・表現方法がはっきりしていて、自分に自信を持っている子供達が多い、とよく言われます。これは、幼少からの教育制度に違いがあるからだ、と考えられています。
集団での規律を重んじる日本人、個人の個性を大切にするアメリカ人。
しかし近年は日本でもグローバルに活躍する人材を育成しようと、文部科学省が知恵を絞り、各都道府県の教育委員会の元で、様々な教育カリキュラムを取り入れている所が多くなっています。中には日本も9月を年度始まりにしてはどうか、という意見もあります。
ここでは日本とアメリカの教育の違いを見てみましょう。

小学校前に上がる前は?

日本は大きく分けて、幼稚園(公認・非公認)、保育園(認可・準認可・無認可)、認定子供園があり、9割以上の子供が小学校に入学するまで通うと言われています。アメリカは地方分権がかなり進んでおり、州によって異なる点はありますが、大まかに以下のようになっています。
デイケア日本の保育園に相当します。産後6週間目から預けられるので、ベビーシッターと併用しながら早めに職場復帰する女性が利用する場合が多いです。
プリスクール日本では「英語教育の幼稚園」という意味が広まっていますが、日本で言う幼稚園と保育園の間に位置する施設です。
キンダーガーテン日本の幼稚園に相当する施設です。一般的なアメリカ人は、小学校に上がる前に、1〜2年間通う子供が多いです。3、4才でプリスクールに通い、5、6才でキンダーガーテンに移る子供もいます。
ホームデイケア宅で開く託児所の様な施設です。各州で基準があり、認可されないと開くことはできません。
日本では文部科学省が教育と位置付けるのは小学校1年生からですが、アメリカでは入学前の1年間に教育プログラムを組み、小学校にスムーズに上がれるようにフォローしています。

義務教育に相当するのは?

日本は小学校6年間・中学校3年間で、中には一貫教育を行っている私立もあります。最近では、公立でも小中一貫モデルケース校として各地域の拠点に配置している自治体もあります。アメリカは州によって異なりますが、
小学校5年・中学校3年・高校4年の5-3-4制
又は
小学校6年、中学校2年、高校4年の6-2-4制
があり、12年間の義務教育があります。日本と同様、公立と私立があり、私立では独自のカリキュラムを組むことで公立校と差別化を図り、魅力を出しています。

アメリカでは高校は義務教育に含まれる

アメリカでは高校は義務教育に含まれる前項にも記述をしましたが、アメリカは高校までが義務教育となっています。日本も進学率が97%と言われほぼ義務教育に近いです。

日本ではクラスや教室がありその団結力は強く、卒業してもクラス単位で集まることがあります。
ですが、アメリカではクラスという単位がありません。
基本的に自分で授業を選んで選択し勉強をするので、日本の大学に近いと言えます。
また、普段の授業では宿題が大変多いです。

多感な高校時代に経験する様々な事

多感な高校時代に経験する様々な事アメリカは夏休みが長く、3ヶ月程あります。
その間は勉強を忘れて自由に過ごします。オンとオフのメリハリをつけている様子が伺えます。これは社会人になってもバカンスを大切にするお国柄を反映していると言えるでしょう。
また、アメリカは人種のるつぼ。母国語・宗教・習慣などが異なる生徒同士が、周りに身近に存在する生活をしています。ですから、多様な価値観を認め合い、自然とグローバルな感覚が身に着くと言われています。
アメリカ人は高校の4年間で大きく成長すると言われています。
個々の良い部分生かし、得意分野を伸ばせる仕組みが整っているからです。
また、ある議題を協議していく上で、人の意見を尊重することや答えは1つではないことを身につけて行きます。

教育に現れる日本との国民性の違い

近年では日本の高校でもディスカッションを取り入れたり選択制の授業を増やしたり、様々な試みがされるようになってきました。しかし、急には変わりません。
日本では、親が子供の成績表を見た時に、まず成績の悪い科目を指摘します。アメリカでは、成績の良い科目をまず褒める、と言われています。平均的な能力を重視する日本人と、個人の得意分野を伸ばすことを重視するアメリカ人。国民性が出ていて大変興味深い部分です。

高校卒業後の進路選択は日本もアメリカも様々

日本では、公立と私立、4年生大学・2年生短期大学・1年〜3年の専門学校に分かれます。
アメリカも同様に公立と私立があり、総合大学と言われる4年制大学、コミュニティカレッジと言われる2年生大学、専門大学の3種があります。

アメリカの大学にランキングは存在しない?

アメリカの大学にランキングは存在しない?日本は現在大学全入時代と言われ、希望すれば大学へ進学することが可能な時代になりました。しかし、有名大学や人気大学には志願者が集中し、狭き門である事は変わりありません。これは、日本人はランキングが好きで、これに左右されることも理由の一つです。 アメリカの大学にランキングというものは存在しません。
なぜなら、指標が多数存在し、全てを統括的に客観視している機関が無いからです。
重要なのは論文の数や卒業生の進路などです。入学時も選抜試験が無く高校時代の統一試験の結果などの書類審査で選考がされます。
よって、優秀な人材であっても、その大学が求める人材でなければ入学が出来ない事もあるのです。

柔軟性のある大学の単位

アメリカではフレッシュマンと言われる1年制以外は各学期に入学が出来ます。また、途中まで取得した単位を他の大学に引き継ぎ、編入することも可能です。在学中に専門分野を変更したり、サマーセッションで夏休み中に単位を取得したりすることもでき、4年かからずに卒業する人もいます。よって、諸外国から留学生を招くなど柔軟に対応することが可能なのです。